パイプライン
ICES13
ターゲット疾患
ICES13のターゲット疾患は腹圧性尿失禁です。
尿失禁で最も多いのは腹圧性尿失禁で、咳、くしゃみ、あるいは運動すること等によって腹腔の圧力が高まった時に自分の意志とは関係なく排尿してしまうことが主な症状です。2002年に日本で実施された疫学調査によれば、腹圧性尿失禁の推定有病者数は男性82万人、女性461万人です(出所:日経メディカルウェブサイト)。こうした症状は、主に加齢や出産などで尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉(骨盤底筋群)が弱ったり、傷ついたりすることが原因で起こるとされています。現行の治療法としては、行動療法(生活指導、骨盤底筋訓練等)、薬物療法や電気・磁気刺激療法を行い、効果が不十分な場合は尿道スリング手術などの手術療法が適用されます。こうした既存の治療法には副作用が発現したり、また充分な効果が得られない場合もあります。したがって、腹圧性尿失禁治療には長期的効果がある確実な治療法に対する需要(アンメット・メディカル・ニーズ)が存在します。
ICES13は、既存の外科的療法とは異なり、患者さまご自身の骨格筋由来細胞を培養して患者さまご本人の尿道括約筋に注入するというものです。これにより、損傷した尿道括約筋の機能を回復し、根治を目指します。
開発中製品の特徴
作用機序
ICES13は、日本では再生医療等製品に、欧州ではATMP(Advanced Therapy Medicinal Product)に、米国ではHCT/P (Human Cells, Tissues, and Cellular and Tissue-based Products)に分類されています。
ICES13で使用する細胞は、ICEF15で使用する細胞と同じく、患者さまご自身から採取して製造した自家骨格筋由来細胞 (aSMDC) です。骨格筋由来細胞とは衛星細胞と呼ばれる筋幹細胞から分化・増殖させた「筋芽細胞」であり、これらが分化・融合して筋管を形成し、損傷を受けた筋繊維と融合することで括約筋の再生が図られます。この細胞は、一旦筋繊維に取り込まれると、長期にわたり尿道括約筋の機能維持に寄与すると考えられています。
投与方法
ICES13を用いた治療法では、尿道括約筋に自家骨格筋由来細胞を経尿道的に注入します。また、ICEF15と同様に、投与前後に電気刺激装置による骨盤底筋電気刺激を実施し、投与した細胞の生着を促します。